クッキー☆とは、蓮奈理緒が企画した『【東方合同動画企画】魔理沙とアリスのクッキーKiss』と、その派生作品、風評被害の総称である。『真夏の夜の淫夢』によって生まれた、淫夢の派生文化でもある。

大まかなイメージとしては例外も多いが「淫夢+東方」のようなものだと思うとわかりやすいだろう。ニコニコ動画にてMAD動画群のタグとして使用されていることで有名だが、今ではニコニコ動画に限らない様々な界隈が存在している。

誕生経緯

元々「魔理沙とアリスのクッキーKiss」は東方合同合作で作られた、いわゆる百合ファン向きの東方声当て動画だった。総勢43人による大作であったが、粗末なシナリオ、ころころ変わる安定しない作画、声優の棒読みなどから東方側からの評価は思わしいものではなかった。

ところがその棒読みが『真夏の夜の淫夢 第二章』を思わせるとして淫夢厨が押し寄せ、動画が淫夢のコメントで埋め尽くされる事態が発生した。

クッキー☆の歴史

初代クッキー☆の一場面

名称の由来

「クッキー☆」という単語は、淫夢コメントに頭を悩ませた蓮奈理緒がそのコメントフィルターとして使っていた単語に由来している。このフィルターの使用は淫夢がクッキー☆を侵略してからしばらく経った2010年9月15日ごろから始まった。それまでは「TOHO合作動画」「アイスティーkiss」などと呼ばれ、名称は安定していなかった。

MADの制作経緯

クッキー☆MADは風評被害直後にすぐにMADジャンルとして確立されたわけではなく、そこまでには時間を要した。

初期の展開(2010年)

  • 2月15日:クッキー☆投稿
  • 2月27日:最古のクッキー☆MAD「魔田所とトオノのアイスティーKiss」投稿
  • 5月5日:ラット辞典兄貴による淫夢異変シリーズ投稿
  • 10月14日:セスジPによる「闘うホモ達【闘う者達】」投稿
  • 10月30日:ひと☆ごみ兄貴による「霊夢 so クッキー☆」投稿

クッキー☆の派生動画

元々クッキー☆は『【東方合同動画企画】魔理沙とアリスのクッキーKiss』を指す言葉だったが、その後多くの動画が風評被害を受けてクッキー☆とされるようになった。それらの動画は以下のように分類される:

連想型

クッキー☆または淫夢を思わせる要素から風評被害を受けたもの。最も基本的な風評被害の形態。

リスペクト型

クッキー☆や淫夢のネタを故意に入れており、意図的に風評被害を受けたと思われるもの。

シリーズ型

クッキー☆として扱われた動画のシリーズ全体が風評被害に巻き込まれたもの。

発掘型・吸収型の派生作品

発掘型

既存のクッキー☆にスタッフ等で関わった人物が関わっていたため風評被害を受けたもの。クッキー☆声優の出演作品が主だが、企画者やスタッフが関わった作品も含まれる。

吸収型

元々はクッキー☆とは関係なく起きた風評被害だったが、東方二次創作であったため、クッキー☆でネタにされるようになり、吸収されてしまったもの。

削除騒動

クッキー☆が淫夢のMAD素材として扱われていく中、クッキー☆を素材に使用している動画が削除される事件が発生した。

主な出来事

  • 3月2日:動画説明文に淫夢コメを控えるよう苦言が追記される
  • 3月13日:淫夢コメ歓迎版が投稿される
  • 9月15日:淫夢コメ歓迎版が削除される
  • 9月17日:「魔田所とトオノのアイスティーKiss」が削除される

これは蓮奈理緒による削除依頼によるものだったが、極僅かな使用でも削除する過剰な対応は、後のクッキー☆騒動にも影響を与えることとなった。

界隈の多様化

現在のクッキー☆界隈は以下のように多岐にわたっている:

  • 静画系

    ニコニコ静画での作品投稿を中心とした活動。イラストやMAD素材の制作が中心。

  • 生放送系

    ニコニコ生放送でのクッキー☆関連放送。雑談やゲーム実況などが主流。

  • 実況コミュニティ

    クッキー☆実況コミュニティを中心とした活動。本編動画の実況や新規語録の開発が行われる。

  • SNS系

    TwitterやPixivなどのSNSでの活動。ワンドロや創作活動が活発。

主要な界隈の詳細

ニコニコ系(クッキー☆MAD)

クッキー☆に風評被害が及んだ際に生まれた最も古い界隈。クッキー☆動画への淫夢コメントやMAD制作を中心とした活動を行う。淫夢との関連が深く、コラボ作品も多い。

他のMAD界隈と異なり、本編の視聴よりも二次創作を重視する傾向がある。クッキー☆に大きな影響を与えた投稿者でも初代すらろくに視聴していないということも少なくない。

クッキー☆本スレ

YouTube板の「クッキー☆総合スレ」を中心とする界隈。声優の調査や監視が主な活動で、Twitter等での声優との交流も行われる。総合スレの他、Twitterや声優のコミュニティ、こえ部などでも活動している。

クッキー☆騒動時に活用されていたスレが起源で、攻撃的な性質を持つ。個人情報の調査や晒し、声優への嫌がらせなど問題行為も多く、他界隈から特に嫌われている存在である。

クッキー☆実況

なんでも実況(ジュピター)板でのクッキー☆実況スレを中心とした活動。本編動画や声優の歌ってみた等を実況し、新規語録の開発が盛んに行われる。

あらゆる糞動画への耐性が必要とされ、独自の文化を形成。他界隈との交流を好まず、淫夢語録の使用も控えめな排他的な性質を持つ。

その他の派生界隈

静画系

ニコニコ静画での作品投稿を中心とした活動。時事ネタや様々な文化が入り混じる特徴がある。鉛筆アナログからプロ、ほのぼのから特殊性癖まで様々なタイプの投稿者が存在する。

生放送系

ニコニコ生放送でのクッキー☆関連放送。雑談やゲーム実況が主流。特定の単語をコメントするとクッキー☆や淫夢の音声が鳴る設定がよく見られる。

まりスト

したっぱ氏のフリーゲーム『魔理沙とアリスのクッキー☆ストーリア』(2014年8月10日~2017年8月頃)を中心とした界隈。ゲームのプレイや動画投稿、情報交換などが行われた。

声優個別スレ

イワナスレ(UDK姉貴崇拝)やイルカスレ(SNNN姉貴崇拝)など、特定の声優を中心としたスレッド。独自の文化を形成し、長期的な活動を続けている。

創作系

ワンドロやオリジナルユニット創作など、Twitter上での創作活動を行う界隈。定期的なイベントや企画が開催される。

海外展開

bilibili動画を中心に、中国でも独自の発展を遂げている。ニコニコ動画の影響を受けつつも、独自のネタや文化が発達。近年は転載に留まらずbilibili特有のクッキー☆文化も形成されている。

その他の小規模界隈

動画スレ

YouTube板の「クッキー☆動画スレ」で活動する界隈。MADについて語り合う場だが、煽り合いが多く荒れやすい傾向がある。投稿者アンチスレの復活後は比較的安定したが、2020年に消滅。

東方板クッキー☆スレ

東方板に建てられるスレッド。本スレの避難所として始まったが、現在は様々な界隈の交流所となっている。東方二次創作としての側面も議論される。

クッキー☆絵チャ

「金曜絵チャ」(毎週金曜21時)と「真夏の夜の絵チャ」(不定期)が有名。描かれた作品は後にニコニコ静画に投稿される。静画の派生だが、コテハン制による緩やかなコミュニティを形成している。

創作総合スレ

ネットwatch板の「クッキー☆創作総合スレ」。動画やイラスト制作の技術的な話題を中心とした平和的な議論の場だが、現在は過疎化している。

CTV☆とCokmaTV☆

クッキー☆関連動画を24時間流し続けるCytubeのページ。CTV☆は本編中心、CokmaTV☆はMAD中心と棲み分けがされている。クッキー☆実況の文化を受け継ぎながら、独自の発展を遂げている。

クッキー☆人狼

るる鯖でクッキー☆や淫夢関連のキャラのロールプレイをしながら人狼を行うコミュニティ。毎晩「クッキー☆ガバガバ村」という名前で募集される。RPを完全に強制されるわけではなく、クッキー☆を知っていれば参加可能。

面会室

クッキー☆投稿者・自己矛盾のニコニコミュニティで行われていた配信。毎週土曜日20時から、その週投稿されたクッキー☆動画を視聴する企画。投稿者をゲストに招くスタイルが特徴的だったが、投稿者の"キャラクター化"を促進したとして批判も集めた。

界隈の変遷について

これらの界隈は時期によって活動規模や性質が大きく変化することがある。また、複数の界隈で活動するユーザーも多く、完全な区分は難しい。ここでの説明は各界隈の特徴的な部分を中心にまとめたものである。

注意事項

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